印象に残った看護体験

新潟南病院看護部は患者・家族に寄り添った看護を提供したいと努めています。そこで年1回、「印象に残った看護体験を語る会」を行っています。その中からいくつか事例を紹介します。

思いを叶えるために・・・。

2020年8月26日掲載

私は病棟でチーム一丸となって係わった、全身性エリテマトーデスを患っていた若い女性の患者さん(以下Qさん)の事が印象に残っています。

Qさんは何度も入院を繰り返していましたが、治療に対して前向きに闘病されていました。しかしだんだんと前向きさは失われ、この入院ではかなり気持ちが落ち込んでいる様子でした。

しかしそんな中でも、ケアマネージャーの試験にチャレンジするために毎日問題集に向かう姿があり、その様子を見ていて何とか試験を受けさせてあげたいと思うようになりました。そしていつしかチームでもそれが目標になっていました。

Qさんは移動の手段に車いすが必要なのですが、飲み薬の副作用によって体重が増え、肥満状態であったため使用できる車椅子がありませんでした。そのことをQさんに伝えると、減量に積極的に取り組まれみるみる体重は落ちていきました。そして、いつしかQさんにも笑顔や会話が増え、本来の前向きさを取り戻していきました。その後もリハビリに意欲的に取り組まれ、経過は順調に進みました。そして試験当日、時間に余裕を持ってみんなで送り出すことができました。

この経験から、患者さんと看護師がチームで同じ目標を持ち、取り組むことで信頼関係も一層深まり、達成した時の喜びも大きい事を実感しました。患者さんはある程度制限された中で入院生活を過ごしています。患者さんの気持ちに寄り添い、信頼関係を大切にして、これからも看護師として頑張りたいです。

 

最後まで耳は聞こえる

2020年3月3日掲載

私は、看護師になって7年が経ち、これまで多くの患者様と家族の方との出会いや別れを経験してきました。その中でも、昨年受け持たせていただいたBさんとの関わりが印象に残っています。

Bさんは80代の女性です。認知症の症状があり、スタッフが説明したこともすぐに忘れてしまいます。その為私は、受け持ちの時、いつも名札をみてもらい名前を伝えていました。

治療後の経過は良好で、施設退院を目標に退院の準備をしていましたが、ある時を境に全身状態が再び悪化し、このまま病院で最期を迎えるかもしれないと、ご家族へ医師より説明がありました。 私もその時は、もうだめかと思いましたが、今までと変わらず反応がなくても声をかけ続けていました。

その後、Bさんは懸命な治療の結果、状態が回復し話しが出来るまでになりました。それだけではなく、Bさんより「○○さん、いつもお世話になっています」「私、具合が悪くなったけどあなたがたくさん話しかけてくれた。本当に嬉しかったよ。」と涙を流して話してくれました。その後Bさんは、無事に施設へと退院することが出来ました。

私は、学生時代に「人間は最期まで耳は聞こえるので最期まで声をかけ続けることは大切である」と学んだことを思い出しました。Bさんとの関わりから、「どんな時でも声掛けは大切である」ということを改めて再確認することが出来ました。

これからも、この言葉を大切に看護師として働いていきたいと思いました。

 

看護にとって一番大切なことを思い出させてくれたCさん

2020年2月6日 掲載

「あなたねぇ…もう私いい年なのよ」

トイレまで歩行器で行く時のCさんの口癖でした。もともと歩行器で生活されていた方でしたが、転倒を機に一時的に寝たきりになりました。その後リハビリが進み、リハビリスタッフから、病棟内トイレまで歩行器で歩くようにしましょうと言われ、Cさんもその時は頑張らなくちゃ、と意欲的な様子を見せていました。

トイレに行く時は私も「歩行器で行きましょう」と積極的にすすめました。ところが、必ずAさんは「あなたねぇ…もう私いい年なのよ」と疲れたように言うのです。ポータブルトイレが良いとも言われましたが、私は「普段は臥床して過ごしている事が多いし、せっかくの歩行機会なんだから。」と、対応に悩みながらも、再度Cさんと目標を確認し、歩いてもらっていました。

しかしある時、「歩け歩けって言うけどね、腰が痛くて辛いのよ!」とCさんは爆発しました。私はこの時になってやっと、Cさんのつらい想いに気づいたのです。Cさんだってできることなら歩きたいけれど、腰痛のせいで身体が想いについていかない状態だったのです。リハビリの時には何とか頑張ることができても、毎度毎度トイレの度に頑張るのは身体も、心もつらかったのでしょう。私は、ポータブルトイレが習慣化してしまうのではないかという自分の不安を勝手に押し付けてしまっていました。Cさんには、自分の考えが至らなかったこと、無理をさせてしまったことを謝りました。そして、Cさんの考えを尊重し、決して無理はさせないと決めました。その後はCさんに主体的に、調子を見ながら歩行してもらうことで以前の状態まで回復し、無事退院されました。

Cさん、私は患者さんの想いを尊重するという、何よりも大切なことを忘れていました。思い出させてくれてありがとうございました。

 

初めて受け持たせていただいた、忘れられない患者さん

2020年2月6日 掲載

私は人の役に立てる仕事をしたいと考えて看護師になりました。

初めて受持ちをさせて頂いたAさんは、脳梗塞による失語症とうつ病があり、発語はなく、表情の変化も見られない方でした。それでもご家族は、経管栄養をしながら自宅での療養を希望されていました。

主介護者となる娘さんは、経管栄養の仕方、体位変換やオムツ交換、口腔ケアの方法など、多くの手技取得が必要でした。私も初めての退院支援で分からない事や不安が多く、先輩看護師に相談し、試行錯誤しながらの指導でした。娘さんは、つたない私の説明に一生懸命耳を傾け、必死に練習してくださいました。そんな甲斐あって、退院前には自宅介護で必要な手技を獲得することが出来ました。

退院当日、挨拶にうかがうと、娘さんから「長谷さんが受持ち看護師で良かった。ありがとうございました。」と言っていただきました。すると娘さんの言葉に続けて、Aさんからも、微笑みながら「ありがとう」と言っていただきました。初めて見るAさんの笑顔と感謝の言葉に、こちらが感動してしまいました。「ああ、きっと以前のAさんは、こんな風に素敵な笑顔で、周りの人にありがとうと言っていたんだな。だからこんなに娘さんも一生懸命介護するんだな。」と、温かい気持ちになりました。きっとご自宅に帰ることで、ますますこんな良い表情をする回数も増えていくのではないかと思いました。

看護師をしていて大変だと思う事もありますが、患者さんとの関わりや感謝の言葉から得るやりがいは大きく、喜びを感じながら仕事することができています。