印象に残った看護体験

新潟南病院看護部は患者・家族に寄り添った看護を提供したいと努めています。そこで年1回、「印象に残った看護体験を語る会」を行っています。その中からいくつか事例を紹介します。

家族に寄り添った支援の大切さ

2021年1月22日掲載

私は小学生の時に祖母を亡くしています。私たち親族が病院に呼ばれた時には、最後にお見舞いに行った時の笑顔の祖母の姿ではなく、目を瞑ったまま反応がない姿でした。その時そばにいた看護師から「人は最後まで耳は聞こえているから、声を掛けてあげて下さい」と言われ、私たちが言葉を掛けると、祖母の目から涙がこぼれ落ちました。今でもその時の看護師の言葉と祖母の表情は鮮明に覚えています。

看護師になってから受け持ったAさんは、膵臓がんの終末期の状態でした。娘さんが2人いて、ほぼ毎日お見舞いに来られる熱心な娘さんでした。

入院した頃は、日常生活もほとんど手伝うことはありませんでしたが、徐々に全身状態が悪くなり、眠っている時間が長くなっていき食事もほとんどとれなくなりました。医師から娘さんへ病状説明がありとても厳しい状態であることが伝えられ、その日の夜は娘さん2人が仮眠をとりながらAさんに付き添われていました。私は何度も痰をとったり血圧や脈拍を測り、状態をこまめに説明しながら寄り添い続けました。徐々に心拍数が下降してくると、娘さんは泣き崩れてしまいました。そのとき私は、祖母との最期の時、看護師に言われた言葉を思い出し、「最期まで耳は聞こえているので、声を掛けてあげて下さい」と伝えました。娘さんが「ママありがとう」と言葉をかけると、Aさんの目から1粒の涙が落ちる様子が見えました。帰るとき娘さんは私に「本当にありがとうございました」と言葉をかけてくださいました。

誰しも大切な家族を失った時の喪失感は大きく計り知れません。この時の経験は、看護師のかける一言が家族の心を少しでも楽にできるということを知ることが出来ました。

今は、新型コロナウイルス感染症で面会制限をしています。その為、入院している患者さんに家族はなかなか会うことができません。だからこそ患者さんや家族に寄り添い、支援していくことは大切な看護だと改めて学ぶことができました。この経験をこれからの看護に活かしていきたいと思います。

思いを叶えるために・・・。

2020年8月26日掲載

私は病棟でチーム一丸となって係わった、全身性エリテマトーデスを患っていた若い女性の患者さん(以下Qさん)の事が印象に残っています。

Qさんは何度も入院を繰り返していましたが、治療に対して前向きに闘病されていました。しかしだんだんと前向きさは失われ、この入院ではかなり気持ちが落ち込んでいる様子でした。

しかしそんな中でも、ケアマネージャーの試験にチャレンジするために毎日問題集に向かう姿があり、その様子を見ていて何とか試験を受けさせてあげたいと思うようになりました。そしていつしかチームでもそれが目標になっていました。

Qさんは移動の手段に車いすが必要なのですが、飲み薬の副作用によって体重が増え、肥満状態であったため使用できる車椅子がありませんでした。そのことをQさんに伝えると、減量に積極的に取り組まれみるみる体重は落ちていきました。そして、いつしかQさんにも笑顔や会話が増え、本来の前向きさを取り戻していきました。その後もリハビリに意欲的に取り組まれ、経過は順調に進みました。そして試験当日、時間に余裕を持ってみんなで送り出すことができました。

この経験から、患者さんと看護師がチームで同じ目標を持ち、取り組むことで信頼関係も一層深まり、達成した時の喜びも大きい事を実感しました。患者さんはある程度制限された中で入院生活を過ごしています。患者さんの気持ちに寄り添い、信頼関係を大切にして、これからも看護師として頑張りたいです。